3月12日の木曜日ついに『オーバーロード 14 滅国の魔女』が発売されました。
おおよその展開は予想通りでしたが、一部予想外なものもあり「そうきたかー!」となりながらどんどん読んでしまいました。「愚者の考えは読みきれない」とデミウルゴスがつぶやいていたのがまさかの伏線です。
ガッツリネタバレ有りで解説していきます。
魔導国の馬車襲撃事件の真犯人
最初に言ってしまうと主犯はリ・エスティーゼ王国の貴族の三男坊である「フィリップ」です。
彼は八本指幹部のヒルマが王国内の馬鹿な貴族をひとまとめにして一斉に処分するために担がれた無能貴族の筆頭です。
彼は同じ派閥の貴族から「魔導国からの食料が大量に王国にあるので、凶作になっても自領の農作物は高く売れない」という事実を聞かされます。これにより農作物の値段を上げる為、食料を運ぶ魔導国の馬車を襲撃するという愚行に及びます。
これはアルベド、デミウルゴス、ヒルマの誰もが想像もしなかった行動でした。
因みにフィリップは10巻「謀略の統治者」で既に登場しています。
この時、王国のパーティでアルベドに声をかけたことから「立場もわきまえない無能の命知らず」と周囲から見られています。
滅国の魔女の正体
予想通り「ラナー王女」のことです。また魔導国による王国襲撃プランの9割は彼女の構想によるものでした。
彼女は「クライムと未来永劫に愛し合う」という望みの為にアルベドの下につき、クライムとともに悪魔となることを選択しました。
王国の800万人の民の犠牲にし、今回最も幸せになった人物が彼女です。
また10巻から既に裏切りのフラグがザナックとの会話の中にありました。
「俺が王になったらお前にはどこか辺鄙な領土を与える。そこで親なし子を自分の子供にしても構わん。好きにしていい」
と言ったザナックが去ると
「もはや魅力をこれっぽっちも感じない、遅すぎる提案ですわ」
とラナーはつぶやきました。
白銀の鎧の正体
これはツァインドルクス=ヴァイシオン「白金の竜王(プラチナムドラゴンロード)」(以下ツアー)の遠隔操作鎧でした。
ツアーの鎧はアインズとの戦闘の際「リク」と名乗ります。
鎧の強さはアルベド、シャルティアの見立てではレベル80~80代半ばのタンク職といったところのようです。
ツアーは実際に戦ってみて「アルベドという悪魔は危険。魔導王とは能力の相性が良いから決して負ける心配はない」という結論に至ります。他にも「あの吸血鬼級(シャルティア)も本体であれば問題ない」と考えているようです。
そして作中の記述からツアーは『アンデッドの弱体化能力』を有していると判断できます。
青の薔薇の行動
登場はしますが、魔導国との戦いには参戦しません。
ラキュースはともかく他のメンバーは「国よりも仲間の命が大事」とのことで南東の、『昔に滅んだ王都、炎で清められた廃墟』に向かうとのことです。
ブレイン・アングラウスの行動
彼は王国内で孤児の中から剣の才能がありそうな子たちに剣を教えていました。彼らの中からいずれ魔導王を倒しうる者が育つことを夢見てのことのようです。
王都が攻められた時、彼は「魔導王に一騎打ちを申し込む」と言い飛び出しますが、その途中でコキュートスと遭遇します。剣士として生きることを決めていたブレインは死を覚悟してコキュートスと戦うことを決意。そうして彼が放った最後の一撃は40レベルにも匹敵するような技でした。
戦いの後コキュートスは彼の刀を拾い、死体を氷漬けにするよう部下に命じました。戦士としての彼にかなりの敬意を払っているようです。なんだか今後も蘇生されたりして出番がありそうな気がします。
ザナック王子の行動
アインズとザナックは王都での決戦の前に1対1で対話をします。ザナックの「どうして私どもの降伏を認めてくださらないのですか?」の問に対しアインズは「私の守るべき者のために、君たちには不幸になってもらう。それがこの戦争の根っこにあるものだ」と答えました。
ザナックは自国の民の幸せを最優先するアインズの考えに共感します。
アインズはもうすぐ死ぬをわかっていても自分に対し敬意をはらうザナックを気に入ります。
ザナックはこの後、一部の貴族たちにより保身のために殺されてしまいました。ザナックの首を持ってきた貴族たちをニューロニストのもとに送り、殺さないように命令し、「彼らが死を望むまでは決して殺すな」と厳命しさらに「簡単には殺すな」とも付け加えたことから彼のことをかなり気に入っていた様子がわかります。
アインズが操るアンデッドの正体
これは『破滅の王(ドゥームロード)』と呼ばれる70レベル相当のモンスターでした。
レベルはそこまで高くないですが、体力が徐々に減少するデメリットの代わりにかなり高い近接攻撃能力を持つようです。
モモンガボールはどこ?
最大のネタバレです。このアインズは「パンドラズ・アクター」が変身していたものです。
モモンガボールは本体が持っています。
さらには召喚したモンスターにはアインズの持つ特殊能力による強化は行われていません。能力の80%の再現された偽アインズと戦ったツアーは誤った情報を掴まされ、非常に危険な状況になったといえるでしょう。そして、ツアーとの戦いを監視していたアインズは様々な情報を得て、それらを検証しようとしています。この情報の差が今後の戦いの命運を分けることになりそうです。
感想
今回もめちゃくちゃ面白かったです。ドラマあり、バトルあり。そして初めてナザリックの守護者と戦えるレベルの敵が出てきたのも良かったです。
その中でもアインズの今現在の望みがわかったザナックの対話の部分が一番おもしろかったですね。
14巻までの単行本の中では一番分厚いだけあってこれだけでは伝えられなかった面白い場面もいっぱいあるので興味があればぜひ読んで見てください。
次巻の予告
まず発売時期ですが『2021年初春発売予定』とあります。
丸山くがね氏はちゃんと発売時期を守ってくれているので次も大丈夫でしょう。
気になる内容は「アインズがマーレ、アウラとともにエルフの国を訪れる」ことになるようです。
サブタイトルは『半森妖精の神人』。
以前アインズがアウラに対し「将来ダークエルフの国があったら一緒に行ってもらうぞ」と言っていたフラグの回収です。
あとがきで「オーバーロードの物語は残り3巻」と丸山くがね氏は語っています。
完結するのは嬉しくも寂しい気もします。アインズが我が子の為にどのような”幸せ”を築いていくのかが気になるところです。
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